うなぎの秘密 うなぎ豆知識

浜名湖産 活うなぎの蒲焼き

うなぎのひみつ

日本人は世界で一番うなぎを食べていると言われていますが、まだまだ知らない事がばかり。いつも美味しく食べているうなぎの秘密をお教えします。

白うなぎ

「白いうなぎ」を、ご存知ですか。

白うなぎ

普通、うなぎの背の部分は黒、腹の部分は白ですが、まれに体全体が白いうなぎがいます。 では何故、色が白いうなぎがいるのでしょうか。これは、突然変異などが原因で、生まれつきメラニン色素がありません。
※白牛・白蛇などと一緒で、アルビノ(白化個体)といわれています。また、白いうなぎは普通のうなぎ目の色が黒に対し、赤みを帯びています。その他は他のウナギと変わりません。

以前 浜名湖の人工の島、渚園(弁天島)にある浜名湖体験学習施設「ウォット」にはこの非常に珍しい「白いうなぎ」が飼育されていました。 地元の養殖池で普通のうなぎと一緒に飼育されていたものです。※現在は飼育されておりません。

一方、静岡県以外にも白うなぎやまだら模様のうなぎ、銀色うなぎが捕獲されています。

■浜名湖体験学習施設『ウォット』
TEL:053-592-2880 FAX:053-592-2722
URL:http://www.orange.ne.jp/~ulotto/

うなぎの種類

私達が食べているうなぎは蒲焼でしか知らない方が多いかもしれません。

世界には18種類(亜種3種)生息するうなぎですが、魚類のなかのウナギ目(Anguilliformes)ウナギ科(Anguillidae)に属し、日本には2種類生息しており、ニホンウナギ(Anguilla japonica)、オオウナギ(Anguilla marmorata)がいます。

通常、皆さんが食べているのはニホンウナギですが、お店によっては、種類の違ううなぎ(ヨーロッパウナギ)も売られていますので注意して見てみてください。一般的にヨーロッパウナギはニホンウナギに比べて太くて短く。また脂がのっているのが特徴です。

主なうなぎの種類

ニホンウナギ・・・学名Anguilla japonica(アンギラ ジャポニカ種)
ヨーロッパウナギ・・・学名Anguilla anguilla(アンギラ アンギラ種)
アメリカウナギ・・・学名Anguilla rostrata(アンギラ ロストラータ種)
オオウナギ・・・学名Anguilla marmorata(アンギラ マルモラータ種)

うなぎは目は小さく、体は細長い円筒形。腹ビレはなく、背ビレは尾までつながっています。体色は暗褐色で腹の方が白色か淡黄色をしていますが、生息地や餌によって、青みががったり、黒い斑点があったりします。

ウナギ目の中にはウナギ以外にもアナゴやハモの他、ウツボやウミヘビも含まれています。

ウナギと名が付くものにヤツメウナギやデンキウナギ、ヌタウナギがありますが、これらはウナギ目ではありません。

ヤツメウナギは円口類(無顎類)頭甲綱(ヤツメウナギ類)ヤツメウナギ科に属します。ヤツメウナギは主に日本の東北部にも生息しています。目の横に7対のエラ穴が並んでいるため、目が8つに見えることから八つ目うなぎと呼ばれています。またヤツメうなぎはビタミンAを多量に含んでいるため、昔から夜盲症の特効薬として珍重されてきました。

デンキウナギはデンキウナギ目デンキウナギ科に属します。主に南米大陸に生息しており、その名の通り、電気を発生させることができます。デンキウナギはその電気で周囲の様子を検知しエサを獲ったり、身の危険を感じた時に相手を感電させます。

ヌタウナギはヤツメウナギと同じ円口類(無顎類)で、ヌタウナギ目ヌタウナギ科に属します。日本近海(主に中部より南)にも生息し漁も行われていますが、主にお隣の国韓国への輸出がメインとなっております。その名の通り、ヌメリが多く。ウナギやアナゴの比ではない事が有名です。

うなぎと天然記念物

昔から人々の生活とかかわってきたうなぎですが、日本ではこのうなぎを保護している地域や習慣があります。

樺島の大うなぎ(長崎県)

長崎県西彼杵郡野母崎町の脇岬より渡し船で15分位のところに樺島があります。島の中に流れる小川の脇に飲料水の井戸があり、この井戸の中に昔から大鰻が生息していました。この井戸は、大正12年に国の天然記念物に指定されています。ここに生息している大鰻は、太く、短く、黒褐色の斑点があり、産地は世界の北限といわれ、学術上極めて貴重なものです。

昭和42年頃、小川を歩道に建設したとき、井戸を直しましたが、大鰻は老衰死してしまいました。(この大鰻は6代目で、体長106センチ、胴廻り26センチ、体重35キログラム)

その後、鹿児島県池田湖より大鰻を1尾移させて今日に至っています。

素人鰻

武家の商法でうなぎ屋をい始めた侍と、酒乱のうなぎ職人「神川の金」のからみで話しが進む。うなぎには素人の侍がうなぎの滑り止めに糠を使おうとしたり、奥方がなぎなたを持ち出して一匹のうなぎに対峙する場面がクライマックス。

富田川流域の大うなぎ(和歌山県)

富田川は和歌山県田辺市より東南27キロほどのところにあります。河口より4~5キロあまりの上流、富田町平という地域の近くに大鰻が生息しています。ここは大正12年3月に国の天然記念物に指定されました。

奥地の森林伐採により土砂が流れ出て川底が浅くなってきていますが、国の天然記念物指定とともに町を上げて大鰻の保護にあたっています。

粥川流域のうなぎ(岐阜県)

岐阜県郡上郡美並村にある粥川(かゆかわ)は鰻の生息地として知られています。粥川の源は村の西方にそびえる標高1,162メートルの瓢が岳(ふくべがたけ)で長良川の支流です。鰻の生息地は“粥川の中三枚滝より下流、長良川との合流点まで”とされています。この地は大正13年12月9日に国の天然記念物に指定されており、禁漁区となっています。

ここの鰻の由来は、「今から1,000年あまりの昔、瓢が岳に悪い鬼が住みついて村人を苦しめていたが、第26代村上天皇の勅名で藤原の少将、高光公が虚空蔵大菩薩のご加護によって鬼を退治した。藤原高光公はお礼として星宮大権現堂(現在の星の宮神社)を建立、また虚空蔵大菩薩のお告げによるものとして、粥川に鰻を放流したのが生息の始まり」といわれています。

村人たちは、この伝説を固く信じているかのように、今だに誰一人として、粥川の鰻を捕えたり、食べたりしません。鰻にとってはまさに天国です。

佐野川流域の大うなぎ(千葉県)

千葉県のほぼ最南端に位置する館山市の佐野川流域は昭和33年に大うなぎの生息地として市の天然記念物に指定されました。昭和33年6月に体長118cm、胴囲26.7cm、体重は4.3kgの物が捕獲されましたが、近年は生息が確認されていないようです。

池田湖の大うなぎ(鹿児島県)

鹿児島県指宿市池田湖は周囲約15km深さ最大233mの九州最大のカルデラ湖で大うなぎの生息地として昭和44年に市の天然記念物に指定されました。体長2m級の大ウナギの生息が確認されており、また池田湖のイッシーも大鰻との説があります。

上記以外でも昔からの習慣としてうなぎを食べない地域、うなぎを祀る地域が日本には数多く存在します。またそれらの多くに共通することは虚空蔵菩薩の使途として化身としてうなぎが登場いたします。

うなぎのヌメリの正体

うなぎが何故ぬるぬるしているかご存知ですか?

うなぎの体表は粘液細胞が発達し、ムチン(蛋白質と炭水化物の複合体)という物質を分泌している為です。水分を保つ働きがあり皮膚呼吸を助けているのです。陸上でも地中でも、少しの水分があれば生きていけるのもこの粘液細胞のおかげ。

また、淡水と海水のように、環境の違う場所に生息できるのも、この粘液細胞に体内と体外の浸透圧を調整する機能があるからです。 ちなみに、ぬるぬるした体表にはウロコがないように見えますが、細かいウロコが皮膚の下に埋没しているんですよ。

うなぎの血は毒

うなぎの血には「イクチオヘモトキシン」という毒が含まれています。

命をおとすような強い毒ではありませんが、傷口に入ると炎症や化膿、口に入ると吐き気や呼吸困難などを引き起こします。

しかしこの毒は60度以上で加熱調理をすると毒素がなくなります。浜名湖山吹では蒲焼きの場合、焼く前に蒸し、さらに焼上げるので安心です。

同じうなぎ目に属するアナゴやウツボ、ハモの血にも毒が含まれています。

土用の丑とは

陰陽行説

土用の丑の日といえば、うなぎを食べる日で、夏だけのことと思われていますが、実は年に4回あります。

中国の古い思想に陰陽行説というのがありますが、これは、宇宙は木火土金水の5元素(5行)から成るという考え方です。この5行を四季に当てはめる場合、春=木、夏=火、秋=金、冬=水を配すると、土が余ってしまいます。そこで、四季それぞれ90日あるうちの終わりの5分の1ずつを土に当てました。春は清明、夏は小暑、秋は寒露、冬は小寒のあと、いずれも13日目に土用に入り、18日で土用が開けて次の季節が始まります。この土用の期間中に土を犯すことは慎むべきこととされ、葬式などはこの期間中は延期されました。

丑は、12支の丑です。ですから、土用の丑の日は、土用期間中の丑の日ということです。 夏の土用の丑の日には、うなぎを食べたり、灸をすえたりすると丈夫になるという言い伝えがありますが、寒中の土用の丑の日には、口の中の虫を殺すという俗信から、特に口紅をつけたりする習慣がありました。

引用文献: (株)永岡書店「雑学のタネ本」より

土用の丑の日にうなぎ

土用の丑の日にうなぎを食べるのには諸説ございますので、ご案内いたします。

平賀源内 説

一番有名なのは、平賀源内。
江戸時代の蘭学者・発明家の平賀源内が土用の丑をうなぎの日にした元祖として知られています。
客足の少ないうなぎ屋から繁盛の妙案はないかと相談を持ち掛けられた平賀源内が「本日、土用丑の日」と店頭に掲げたところ、これが大当たりしてうなぎ屋は、大繁盛したそうです。
※ 文政5年(1882年)「明和誌」青山白峰著による。

春木屋善兵衛 説

文政年間(18818~29)に出版された「江戸買い物独り案内」という本に春木屋が「丑の日元祖」として紹介されています。
ある時、春木屋に神田和泉橋の藤堂(大名)のお屋敷から、旅に出るのに持っていきたいと大量の蒲焼の注文がありました。 春木屋の主人、春木屋善兵衛は、子の日、丑の日、寅の日の三日に分けてうなぎを焼き、土蔵に貯蔵して三日間置いたところ、丑の日に焼いたうなぎだけが、色合い、風味とも変わりませんでした。そこで丑の日に焼いたうなぎを藤堂様にお納めし、お褒めをいただいたそうです。それ以来、春木屋は「土用丑の元祖」の看板を上げたそうです。
※藤堂のお殿様ではなく、佐竹のお殿様との説や、春木屋善兵衛ではなく青木一馬と言う武士が武士を辞めうなぎ屋になりうなぎを献上したと言う説。また春木屋善兵衛と青木一馬は同一人物説(うなぎ屋になる際に春木屋善兵衛を名乗った)もあります。

大田蜀山人 説

江戸時代の狂歌師の蜀山人(大田南畝)が、神田川という鰻屋に頼まれ、「丑の日に、うなぎを食べたら病気にならない」という内容の狂歌を作って宣伝したことが始まりといわれています。
※ 天保10年(1839年) 「天保佳話 天保十年」劉会山大辺甫編による。

虚空蔵菩薩 説

うなぎと天然記念物の欄にもございますが、うなぎは虚空蔵菩薩の使途、召使い、化身と言われています。そんな虚空蔵菩薩は丑年と寅年生まれの人の守り本尊でもある事から、丑年生まれの人が虚空蔵菩薩に結び付けてうなぎ蒲焼きを宣伝したという説があります。

蒲焼きに山椒(さんしょう)

今、ハーブが人気を集めていますが、薬味の山椒<さんしょう>は日本のハーブとも言えます。

椒はわさびなどと並ぶ代表的な和風スパイスで、若葉は木の芽と呼ばれ、すまし汁の吸い口にしたり、木の芽でんがくなどに用いて香りを楽しみます。また、熟した実を干してすった粉山椒は、七味唐辛子の一味となり、その独特の香りによってうなぎの蒲焼の味を引き立たせる役目をしています。

江戸時代、醤油や味醂のタレをつけて焼く蒲焼が流行する以前は、山椒しょうゆや山椒みそによるつけ焼きでした。これは、風味より毒消しの為だったようですが、山椒の香りがうなぎによく合うため、蒲焼になってからも“うなぎ=山椒”が定着しているのです。

また、山椒には胃酸のPH値を下げる働きがありうなぎの消化を助ける働きがあります。

浜名湖山吹の“うなぎ自鰻”“味自慢”は粒山椒を使って味をととのえた風味豊かな佃煮です。どうぞお試し下さい。

※山椒:ミカン科の落葉低木。幹・枝にとげがあり、春。黄緑色の花が咲く。葉・花・実に強い香気と辛みがある。食用・香味料。(参照:角川新国語辞典)

関東風?関西風?

うなぎは地域によって特に関東と関西では焼き方や捌き方、味付け等の調理方法が違います。

関東風(江戸前風)

一般的な関東風は鰻を背開きにし背骨と内蔵(肝)をとり頭を落とします。その後、白焼きにしてから鰻を蒸し、タレを付けて焼き上げあるのが特徴です。タレはさらっとあっさりした比較的甘くないタレを使用します。うなぎを背開きにして調理するのは武士が多い江戸の町では腹開き=切腹を連想させる為、敬遠されたと言われています。またタレを付けて焼く前に蒸すのは関東のうなぎは関西のうなぎに比べて脂が多かった為、蒸すことにより余分な脂を落としていたと言われています。

関西風

一般的な関西風ではうなぎを腹開きにし背骨と内蔵(肝)をとります。この時、関東風と違い鰻の頭は落としません。うなぎは蒸さずにそのまま地焼きします。タレは甘めのトロりとした物を使用します。関東風と違い腹開きにして調理するのは大阪は商人の町で、腹開き=腹を割って話すから由来していると言われています。関西風うなぎは蒸さない事で脂が多いので、その脂に負けない味の強く垂れ落ちにくいトロっとしたタレを使用していると言われています。

おおまかには上記の2種類に分かれますが、地方やお店によっては違う調理方法をしている場合がございます。九州では鰻を背開きにし頭を残して焼きます。また中部地方の一部地域では背開きにし頭を落とした物を蒸さずに焼き上げ、甘ダレで味付けをする事があります。
また、関西でも腹開きではなく、背開きする場合もあります。これは腹開き=自腹を切るとの事で商人は敬遠していたとの話もあります。

浜名湖山吹では背開きしたうなぎを蒸してから焼き上げる『関東風(江戸前風)』で調理しています。

鰻裂き包丁の種類

うなぎは上記の通り、地域によっていろいろな調理方法がありますが、その調理に使用する包丁も地域によって異なります。浜名湖山吹では関東型の包丁を利用し調理しています。

鰻裂き包丁の種類